「同時通訳はやめられない」 平凡社
著 袖川裕美
学生のころからずっと英語の授業は楽しくて、映画のセリフや洋楽の歌詞が少しでも聞き取れるようになるのが嬉しかったし、世界が広がる気がしてワクワクした。
そんな世界への扉を、語学力に関係なくみんなに開けてくれる存在のひとりが通訳士。英語を勉強していれば一度は憧れる、ミュージックステーションに出演する海外歌手の斜め後ろに立っているあの人。NHKニュースで外国首脳の言葉を即時通訳してくれるあの声。
最近わたしが読み終えた本「同時通訳はやめられない」は、そんな通訳士として現役で活躍している著者の経験が描かれているということで、タイトルだけ見て即買いした一冊です
わたしたちにも身近な2015年ラグビーW杯に関した話から、国の舵取りにも関わる外交交渉での同時通訳まで、多岐にわたる専門分野の場で即時に言葉を変換するために毎回どれだけ事前準備をしているのか、想像していなかった舞台裏を垣間見ることができる一冊です。精度の高い同時通訳には、言語を操るだけでなくその専門分野自体を理解することが求められる。同時通訳士の日々の研鑽と、それでも1秒先に何が起こるかわからないという環境におかれながら言葉を繋いでいるということを知ると、これからテレビなど彼らを目にする、あるいは耳にする時には今まで以上に注目したくなりました。
またわたしのような英語学習者にとっては、本書の各所で触れられる英語フレーズや、最終章にある日本人による英語インタビューの紹介など、本を読むだけにとどまらずインターネットで調べたくなる箇所が多数あります
遠いようで実はとっても身近で活躍してくれている同時通訳の世界を知る本。わたしたちに世界を見せてくれる通訳士の終わらない戦い。おもしろかったです
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